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兵庫県の高校入試について

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兵庫県の公立高校の入試傾向と対策

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2023年兵庫県公立高校入試 教科別の「傾向」と「対策」

国語:入試の傾向国語:入試の傾向
<近年の傾向>
  • 文字数が多い
    ページ数からもうかがえるように入試問題全体の文字数が約12,000字です。特に最後の大問五の論説文で出題された文章においては,過去五年間の平均文字数が約2,400字で,これは全国的に見てもトップクラスの文章量となっています。
  • 符号選択問題が多い
    符号で選択させる問題が全体の7~8割を占めています。符号選択と言えども,一つひとつの選択肢の文が長く・紛らわしい点が難度を上げており,正確に読解する力が問われています。
  • 大問は五問構成
    大問一「情報の読み取り」,大問二「漢文(漢詩)」,大問三「古文」,大問四「文学的文章」,大問五「説明的文章」の構成は,この五年間変わっていません。
  • 「情報の読み取り」や「古典」にも高い読解力が要求されている
    文章読解問題というと,現代文二題が代表的ではありますが,近年では「情報の読み取り」の出題においても会話文の中で読解の要素が強く,また,漢文や古文も現代語訳ができれば問題に答えられるというレベルではなく,文脈から判断して答えを導き出す読解力が試されています。
  • 文法・言語知識の出題
    単独の大問での出題はありませんが,「情報の読み取り」や「文章読解」の中で,毎年必ず出題されています。出題は数点分ですが,知識があれば確実に得点できる問題のため,取りこぼさないように注意しましょう。
<出題内容>
大問 出題内容 設問 配点
詩と会話文 今年度は提示される資料が2種類の「詩」で,詩の内容,表現の効果が問われ,文章読解の要素がより強くなった印象があります。この大問一ではどのような題材が用いられるかが予想できないため,最初の大問で時間をかけすぎてしまう傾向が否めません。
解答のヒントとなる情報を,会話文からいかに正確に早く把握できるかが試されていました。
6 20
漢文
かん
かん
春秋戦国時代の思想の集大成と分析がなされた『韓非子』は,中国戦国時代の法家である韓非の著書です。五つの設問中に必出の返り点を打つ基本問題が一題ある構成は例年通り。
問三の主語を答える問題,問四の内容把握を問う問題は昨年の出題傾向と同じで平易であり,得点源にしておきたい大問です。
4 13
古文
やましなどうあん
かい
『槐記』は江戸時代前期から中期にかけての公家,近衛家熙(このえいえひろ)の言行を侍医であった山科道安が記した日記です。
問一は例年出題される仮名遣いの問題で,今年度は「ゐて」の変換で平易。問二は古文中の意味を文脈から意味が取れるかどうか,問三では大問二の漢文でも出題があった主語を問う問題でした。
問四では内容把握を問う問題でしたが,傍線部だけで判断はできず,文脈から正答を選ぶ力が問われており,やや難度の高い出題でした。
4 12
小説文
むらやま
ほしくず
著者は,数々の文芸賞・文学賞の受賞歴も多く,映画化やドラマ化されている作品もあります。出題の作品は芸能界を舞台にした小説で,入試問題としては珍しい題材からの出題でした。心情把握を含む内容理解の問題を軸に,漢字の読みと本文中の語句の意味を問う出題傾向は変わりませんでしたが,今年度は文法問題として9年前にも出題された「音便」を答えさせる問題が出題されました。
学校の教科書では中学2年生で学習しているはずですが,大きな項目として扱われているわけではないため,正答率が低くなると思われます。心情把握を含む内容理解を問う問題では,紛らわしく長い選択肢が並び,文章中の表現や場面設定を丁寧に読み取らなければ正答にたどり着けず,大問全体としての難度は高くないものの,設問によっては正答率が低くなることが予想されます。
8 27
論説文
やまぐちひろゆき
『現代メディア哲学』
著者は,ドイツ文学・メディア理論・表象文化論・翻訳論を専門とする東京外国語大学教授です。近年の兵庫県公立高校一般入試での現代文は比較的新しい著作物からの出題傾向にあり,今年度出典の作品も2022年に出版されたものです。技術の進化とともに変容するメディアの役割や影響力について述べられ,特に政治的な影響力について考察された文章からの出題でした。
例年に比べ,出題の文章自体に難解な語句はあまり見当たらず,読み進めやすい文章であったものの,著者の論理に沿って読解するのは難しかったかもしれません。
漢字の選択問題においては、今年度は3問中1問が中学生配当漢字からの出題でした。
いずれも語句の意味を理解していなければ答えられず,正答率はあまり高くないであろうと予想されます。
文法問題では,3年連続係り受けの問題が出題されました。その他,問六の書き抜きで解答する問題以外はすべて符号選択で,例年通り長めの紛らわしい選択肢が並びました。
選択肢については,「誤りの選択肢の根拠を確実に本文中から指摘しなければ正答の選択肢が選べない=正答の選択肢の表現と同じ,もしくは似た表現が本文から見つけにくい」ことが特徴的です。
また,大問五の正答率が上がらない要因としては,大問一に時間をかけすぎたため,最後の大問五に時間をかけられなかったことが考えられます。
今年度の入試においても、引き続き「正確」に「速く」読み解く力が問われています。
8 28
入試の対策入試の対策
  • 読むスピードを上げる
    約12,000字の入試問題の答えを考える時間を確保して解答するためには,読むスピードを上げるしかありません。しかし,スピードを上げることによって内容理解が浅くなるようでは本末転倒です。まずは普段の生活の中で文字を読む習慣がない人は,ぜひその時間を意識的に増やしましょう。身近なところでは新聞がよい教材となります。時事問題にも触れることができ,一石二鳥です。あとは問題を解くときに意識して少しずつ読むスピードを上げていくようにしましょう。
  • 解答の根拠を本文中から探して解く
    符号選択問題と言えども,正答/誤答とする根拠を本文中から見つけられないと,本当に理解して答えられたとは言えません。入試問題は符号選択問題が大半を占める中で,きちんと解答の根拠を持って答えられるように,時間がかかっても確認するようにしましょう。また,各種問題集やテストの解き直しをすることは思考を整理する上で必要です。解き直しを徹底しましょう。
  • 知らない言葉は自ら調べる習慣をつける
    言葉の知識は一朝一夕で身に付けられるものではありません。近年の出題傾向でもある科学技術系の論説(評論)文では,非日常的な語彙がたくさん出てきます。
    語彙が増えれば,読解力もさることながら,今後ますます必要とされるであろう表現力も磨かれていきます。意味がわからない言葉を見聞きしたときは,面倒がらずに調べましょう。
    調べることによって記憶に残っていきます。
    国語の学習は、忍耐強く取り組めば他の教科の実力アップにもつながります。漢字や語句、文法の基礎など知識分野の学習を早めに始めるとともに、上記のような読解力を上げる学習を根気よく続けていきましょう。

数学:入試の傾向数学:入試の傾向
<近年の傾向>
  • 各分野がバランスよく出題される
    数と式,関数,図形,データの活用がバランスよく出題され,関数と図形,確率と図形,関数と方程式というような,融合問題も多数出題されています。ある分野に偏って出題された例は過去にありません。偏りなく学習を進めていく必要があります。
  • 問題の難易度の差が大きい
    標準的な難易度の問題が少なく,難問と平易な問題が多いという特徴があります。しかしながら,例年平易な問題の配点が一番多く,その配点は50点以上になることも少なくありません。このことより,例え数学が苦手な人であっても,得点しやすい平易な問題を確実に得点できれば,60点以上も不可能ではありません。難易度の差が大きく平易な問題の配点が多いということは点数の差がつきにくいとも言えます。よって,ミスが大きな痛手になりかねないので注意が必要です。
  • 数学なのに文章量が多い
    2023年度の大問5,6に代表されるように,文章量が多い問題が多数出題されています。それはどの年度においても同様です。また,文章に加えて,図・表・グラフを読み取らなければならない問題がほとんどです。計算力だけでなく,情報を正確かつ迅速に読み取る読解力が必要です。
<出題内容>
大問 出題内容 設問 配点
計算,基本的な図形問題を中心とした独立小問 (1)正負の数の加減,(2)多項式の乗除,(3)平方根の加減,(4)因数分解,(5)比例と反比例,(6)円錐の側面積,(7)平行線と角,(8)標本調査で,昨年度と同様全8問構成でした。また,今年度も中1から中3の全学年の学習内容から出題されていました。いずれの問題も平易でしたが,(6)の円錐の側面積を求めればよいのに,誤って円錐の表面積を求めるといったミスには要注意です。 8 24
1次関数の利用,関数y=ax2の利用(動点) 動点の問題で,関数y=ax²と1次関数を合わせたグラフになる定番の問題でした。難易度としては標準的です。点Pが途中で速さを変えて動くので,その部分を読み落とすと混乱を招くことになります。(3)③は,二次方程式を立てた際に,因数分解を利用して整数解が導き出される問題が多い中,解の公式を使って解を求める必要がありました。このことより,計算途中で戸惑った受験者もいたことでしょう。 3 15
平面図形 (1)の証明問題はここ数年定番化している語群から正しいものを選択する証明問題,(2)~(4)は四角形の性質,三角形の底辺比と面積比,相似等様々な知識を駆使し,線分の長さや面積比を求める問題でした。この大問では(1)~(3)でわかったことを(4)に活かすことができます。このように前の問題でわかった事柄を次の問題に活用するという流れは,他の多くの問題にあてはまります。(1)~(3)は比較的平易でしたが,(4)の正答率は2023年度の中では最も低くなると予想されます。解法はいくつかありますが,いずれの解法も補助線を引く必要があり,時間が限られる中でそれに気付くことは難しいでしょう。 4 15
関数y=axと図形 (1)~(3)は定番の問題であり難易度は平易でした。(4)は放物線と円を組み合わせた問題で,難易度は標準的でした。また,(4)は円に内接する直角三角形を利用する問題で,円周角や三平方の定理の知識を利用して解きます。この円に内接する直角三角形は,今年度は関数と図形で出題されましたが,平面図形でも頻出です。円は図にえがかれていないので,題意に従い自分で円をえがくことで解法が思い浮かびやすくなります。図形が関係する問題は,例え解につながる確信がなかったとしても,まずはかいてみることが重要です。 4 15
確率(連立方程式) さいころを投げて,その目の数によって箱の中に玉を入れていく定番の問題で,操作も2つしかないので一見平易に見えますが,難易度としては標準~難の問題でした。操作を繰り返し行うことと,繰り返し行った操作の結果の情報が多く,整数の知識も利用しながら,一つ一つ情報を整理し理解しなければならないことに難しさがあります。また,確率の問題と思って解き進めていたのに,(4)②は連立方程式を使う必要がある珍しい問題であり,戸惑った受験生もいたことでしょう。(4)②が解けなければ,(4)③が解けないこともあり,(4)③は正答率が低くなることが予想されます。 3 15
数学的な考え方 2ページにわたって問題文がかかれており,必要な情報をすばやく正確に読み取ることが重要です。問題そのものの難易度としては平易ですが,最後の大問で時間がないことが予想される中,文章量の多さにより難易度が上昇しています。操作の複雑さはあるものの,数学的な知識としては中学1年生の内容だけで解くことができます。 3 16
入試の対策入試の対策
  • 計算スピードを上げる
    計算が速く正確にこなせることで,思考と試行をする時間的な余裕が生まれます。得点を伸ばすためには,問題の条件や図表を落ち着いて読み取ること,問題の条件をかき出し整理すること,図形などは正解に近づくかは未確定だとしてもわかることを求めること等が必要です。時間がない中でこれらをしようとすると,どうしてもミスが増えてしまいます。
  • 定義・定理・公式を正しく理解し,暗記する。
    難易度が高い問題も実は基礎基本が複合して成り立っています。よって,基本的な知識技能なしに,どこで何を使うのかを「ひらめく」ことはできません。例えば入試問題レベルの図形問題では,数学の先生であってもその図形を見た瞬間に解法が思い浮かぶことは非常に稀です。定義・定理を利用してわかったことをかき,整理することではじめて「ひらめく」ことができます。
  • 徹底的に解き直しをする
    定義・定理・公式を暗記するといっても,九九のようにその性質を唱えたとしてもなかなか実際には使いこなすことができません。定義・定理・公式は使ってはじめて自分のものになります。徹底的に解き直しをすることで,その問題に使われている定義・定理・公式とともに解法の流れを身につけることができます。
社会:入試の傾向社会:入試の傾向
<近年の傾向>
  • 符号選択問題が多く、文章記述問題が出題されない。
    符号選択問題が非常に多く、配点もここ5年間は80点以上で、90点の年(2022年,2019年)もあります。特に地理では語句記述問題が少なく、2020年に2問出題された以外、ここ5年間では出されていません。また、その事象の原因や理由などの記述問題も出題されていません。正誤判定問題も増加傾向にあり、「適切でないもの」を選択する問題も出題されます。選択肢が6つ(多いものは9つ)から1つを選択する問題も増えつつあります。(2020年度2問5点→2021年度8問20点→2022年度14問37点→2023年度10問28点)
  • 資料(史料)の読み取り問題が多く出題
    地理、公民では統計資料の読み取り問題が多く、複数の資料から判断する問題も出題されます。世界地理では国の貿易品、貿易相手国など教科書や資料集ではあまり見かけない資料が多く見られます。公民では近年の社会情勢や時事的なことから各種アンケート結果、商品の販売数比較など地理同様教科書で見かけない資料の読み取り問題が多く出題されます。歴史では図の資料(史料)が多く見られます。
  • 標準的な問題が多いが、正確な知識を問われる
    地理・歴史・公民分野とも標準的な問題が多く出題されます。符号選択問題が多いですが、複数資料からの読み取り問題もあり、知識の活用力が重要になってきます。また、選択肢の文章量が多い問題があり、その中で前半は正しいが後半部が間違っている(その逆もあり)など、読解力、注意力が要求されるものも多いです。また、ラスコーの壁画のあるフランス、室町文化の「連歌」、(企業の)社会的責任,物の価格に関しての「希少(性)」など意外な語句記述が出題されることもあります。歴史では、限られた期間でのできごとの流れが問われたりもします。どの分野も正誤判定問題が出題され、正しい知識力が要求されます。
<出題内容>
大問 出題内容 設問 配点
地理総合
1:世界地理
ヨーロッパ、アフリカ、中・南アメリカから出題。地図が分断されていて位置関係をつかむのに苦労させられました。経緯線や気候,各国の貿易などの特徴について出題されました。在留邦人数や海外進出日系企業拠点数の表から日本とのつながりでブラジルを選択する問題がありました。歴史的背景など総合的にからめた問題で、知識とその活用が要求されました。 11 35
地理総合
2:日本地理
中国・四国地方についての自然や産業、人口などに関する問題。気候の特色、地形の断面図、化学工業と繊維工業の出荷額表と文章を絡めた正誤判定問題、広島県の3つの市町(広島市、呉市、大崎上島町)の位置と人口等に関する表から老齢化が進んでいる大崎上島町を選択するなど、非常に深い知識と判断力が要求されました。地形図問題では、2枚の写真を見てその撮影位置を判断し、「地震・津波避難支援マップ」の読み取り問題もあり、難度が高い問題の出題が目立ちました。
歴史総合
1:江戸時代までの歴史
法令の一部に関する4つの資料をもとに政治、社会の様子について出題。資料は飛鳥時代の十七条憲法、鎌倉時代の御成敗式目、戦国時代の分国法、江戸時代の公事方御定書。年代順に並べる問題が2題で、いずれも3つの事柄について出題されました。 10 35
歴史総合
2:近代以降の日本・アメリカの政治家や世界の様子
近代以降の日本とアメリカの政治家の年表をもとに、政治や社会の動き、海外とのつながりや当時の世界情勢について出題されました。アメリカの南北戦争、近代日本の海外とのつながり、第一次世界大戦参戦理由とその後の対応について。さらに,2人の政治家の人物名も問われました。日本の政治家、原敬を解答するのに戸惑ったかもしれません。アメリカの政治家はウィルソン大統領。多岐にわたっての知識と内容を読み取る力が問われました。
公民総合
1:日本の経済-貨幣経済と金融政策
貨幣経済と金融政策   貨幣導入の理由と現在の多様化、日本と欧米5か国の追加的財政支援の割合の表と文章から語句(ユーロ,イタリア)を解答する問題。「イタリア」に関しては、ユーロ導入国という文言を見落としがちになります。株式購入の2年間(2016年と2020年)の比較表の読み取り,不況時の日本銀行の金融政策や円高時の日本企業の様子など、知識だけでなく、読解力、判断力が問われました。 8 30
公民総合
2:地方政治(地方自治)-被選挙権や町村議会議員
地方政治の変遷、被選挙権、首長と地方議会の関係について。町村議会議員や無投票団体に関する3つの資料の読み取り、正誤問題は3つの文の判定で、選択肢も4つから6つに増えました。知識もさることながら読解力をはじめ総合力が問われました。
入試の対策入試の対策
  • 地理:資料の活用
    教科書の基本知識だけでなく、それをもとにして表・グラフ・地図などの資料を正確に判断する力が必要です。教科書に出てくる統計資料も出題されますが、初めて見る資料がよく出てきます。しかし、実は各地域や各都道府県の特徴をしっかり理解しておけば解けるものがほとんどです。またある農産物に関して上位を占める県名や国名を意識し、さらになぜその地域で栽培が盛んなのか、自然環境もあわせてつかんでおくといいでしょう。統計資料や地図を用いた問題に早いうちからあたっていくことをおすすめします。数値の割合などの計算が必要になる場合もあるので、概数を使った計算練習もしておきましょう。時差についても押さえておきましょう。
  • 歴史:海外とのつながりや流れを意識して知識量を増加
    特定のテーマについて、歴史の流れや日本と世界のつながりも関連づけて覚えておく必要があります。特に最近の出題から強く感じます。教科書の読み直しはもちろんのこと、政治史・外交史・経済史・文化史などテーマ別の入試問題に取り組んでみることも有効な手段だと思います。教科書の資料(史料)、写真についているコメントにも注視しましょう。
  • 公民:語句知識の定着と時事問題への意識強化
    教科書の重要語句の知識習得が必要です。地理・歴史に比べて学習時間が少ないので、学校の授業を大切にし、定期テスト時の学習で確実に仕上げることがより重要になってきます。現代社会のようすや資料をもとにして考える問題が増加傾向にあります。地域組織をはじめ世界の社会や経済の動き,日本国内の政治などの時事問題への対策も必要になりますので、日頃から各種メディアを通じて世の中の動きにも注意の目を向けておきましょう。
  • 共通:語句に意識しながら教科書の読み込み,読解力強化
    選択肢の文章量や資料・図・表が多くなってきていて、複数の資料から判断する傾向にあります。また選択肢の文章ではある部分は正解だが、ある部分が間違っている、などきっちり読みこなすことが必要です。必要な数字と不必要な表など、判断力も問われます。たくさん問題を解くことで、取捨選択をする力はつきますので、数多くの入試問題にあたり慣れていきましょう。また、基本用語記述問題は、漢字指定やカタカナ指定などがかかり、教科書の見直しが大切になってきます。基礎的な語句関連問題は素早く正確に、資料の読み取りなど少し応用的な問題には時間をかけて、といった傾斜をかけた勉強の仕方も必要になってきます。
理科:入試の傾向理科:入試の傾向
<近年の傾向>
  • 化学,物理,生物,地学の各分野からバランスよく出題
    過去5年を見ると大問数は変化していますが、「化学25点・物理25点・生物25点・地学25点」という配点に変わりはありません。
  • 問題の難易度の差が大きい
    「斑晶」「石基」「けん」といった教科書に記載の基本的な語句問題から、難解な計算問題まで幅広く出題されています。計算問題では、「密度と質量パーセント濃度」、「電力量と熱量」のように,1問の中で複数の計算を求められる難解な問題も出題されています。
  • 情報量が多い
    実験の問題文が2ページにまたがっているだけでなく、さらに図・グラフ・表も多数載っているため,読むだけでも時間がかかってしまいます。入試当日はそれらの情報を素早く整理して問題を解く必要があるため,普段から情報量が多い問題に慣れておく必要があります。
  • 符号選択問題が多い
    符号選択問題が約9割を占めます。符号選択以外の問題としては、「反射」「けん」「示相化石」といった教科書に記載の語句記入問題や、数値記入問題となっており,文章記述の問題は出題されていません。
<出題内容>
大問 出題内容 設問 配点
生物
植物の特徴と分類,自然界のつり合い
中問1は,植物からの出題。基本的な植物の名前や特徴を問う問題となっており,比較的平易な問題でした。ただ,胞子がつくられる部分の図を選ぶ問題では,イヌワラビを選ばないといけませんでしたが,掲載されているゼニゴケが雄株とは知らずに,そちらを選んでしまった受験生もいたのではないかと思われます。
中問2は,自然界からの出題。土の中の小動物や微生物が,落ち葉や有機物を変化させるかどうかを確かめる実験の問題。教科書に掲載されている実験と非常によく似たものでした。
問題文が非常に長く,図も多数あったため,複数の情報を素早く整理する必要がありました。
教科書には掲載されている実験ではありましたが,寒天培地の色の変化や,土の中の微生物の数量に関する問題が出題されており,普段から解いて慣れていないと難しく感じたかもしれません。
6 25
地学
地球の大気と天気の変化
中問1は,天気図や気団など関する問題。天気図記号の問題や,高気圧・低気圧周りの風の吹き方など,基本的な問題が多く比較的平易な問題でした。
ただ,天気図の並べ替え問題については,7月と12月の天気図は比較的判断しやすかったのですが,6月と10月の天気図はどちらにも停滞前線があったため,きっちり問題文を読んで,図を選択する必要がありました。
中問2は,水蒸気に関する問題。湿度や飽和水蒸気量から水蒸気量を求める計算問題が出題されましたが,表から数値を正しく読み取って計算すれば正解できたため,そこまで難しくはありませんでした。
しかし,白く見えた湯気は水蒸気ではなく水滴である,ということを知っていないと解けない問題があり,その問題については正答率が低くなることが予想されます。計算力は必要でしたが,物質の三態など本質的な内容を理解できていたかどうかも大切でした。
8 25
化学
水溶液の性質,物質のすがたとその変化
中問1は,蒸留に関する問題。比較的平易に見える問題でしたが,枝つきフラスコ内の温度計のとりつけ方や,混合物の水温変化のグラフに関する知識がないと間違えてしまう問題であったため,正答率は低くなると予想されます。
また,蒸留で赤ワインの気体を集めるとその気体は赤色ではなく無色になる,といった本質的な理解も必要でした。
中問2は,再結晶に関する問題(電離式も1題出題)。電離式の問題や,ろ紙の穴・粒子の結晶の大小関係を表した図の問題は比較的平易な問題でした。
ただ,最後の質量パーセント濃度を求める問題では,どの水溶液の濃度が最も小さいかを判断し,さらにその上で質量パーセント濃度を導き出さなければならなかったため,正答率は低くなると予想されます。
8 25
物理
電流の性質,電流と磁界
中問1は,オームの法則に関する問題。電圧計のつなぎ方や,抵抗器のグラフに関する選択問題は比較的平易な問題でした。
しかし,その後の問題では,実験の長い問題文を読んだ上で複数の実験の回路図を自分でかく必要があり,限られた時間の中でそれらの情報を素早く整理する必要がありました。
また,1つの問題で3種類の計算をして,さらにその上でグラフを選ぶといった問題が出題されたため,正答率は低くなると予想されます。
中問2は,エネルギーの変換,電力,磁界に関する問題。豆電球やLED豆電球のエネルギー変換に関する問題は平易でしたが,モーターが回転するしくみに関する問題は,コイルにはたらく力関係をきちんと理解していないと解けない問題だったため,どの選択肢にすべきか迷った受験生がいたと思われます。また,モーターの変換効率を求める問題は非常に難解でした。
まず,中3で学習した仕事量を求め,次に中2で学習した発熱量を求め,さらに中3で学習した変換効率を求め,最後に四捨五入をして答えを出すという問題でした。
複数の立式をするだけでなく,複雑な計算もしなければならないという難解な問題であったと言えます。
8 25
入試の対策入試の対策
  • 教科書の知識の早期定着
    教科書を中心に,普段から知識の定着を図る必要があります。語句を丸暗記すれば問題が解けるというわけではありませんが,少なくとも教科書に記載の語句はきちんと覚えておく必要があります。ただし,やみくもに教科書を読めば良いというわけではありません。学校の授業で習ったその日の内に,教科書を読み直すのが良いでしょう。ただ,平日に時間を取ることが難しい場合は,週末に少し時間を取ったり,TVのCM中に読んだりと,隙間時間を上手に活用して読んでいきましょう。
  • 日頃から計算問題に挑戦
    近年の入試を見ても分かるように,計算問題が多数出題されています。また,計算問題は中3の内容だけでなく,中1中2の内容からも出題されているため,今から計算問題を解いて慣れていく必要があります。ただし,学校のワークだけでは問題量が少ないため,塾のテキストや問題集などを使用して,特に定期テスト前は時間を割いて解くようにしていきましょう。
  • 時間を意識した問題演習
    情報量が多い問題が出題されているため,制限時間内で最後まで解ききれない可能性があります。そのためには,読解力及び速読力が必要です。日頃から情報量が多い問題に取り組み,また時間を意識して問題を解くようにして,入試本番でもすべての問題が解ききれるようにしていきましょう。
英語:入試の傾向英語:入試の傾向
<近年の傾向>
  • リスニングは出題形式は4年連続で変化なし
    聞き取りテスト1は対話に続く応答を選ぶ問題。すべて放送による聞き取りで,会話も選択肢も1度しか読まれません。聞き取りテスト2は会話を聞いて質問の答えを選択肢から選ぶ問題,聞き取りテスト3は英語による説明を聞いて質問の答えを放送される選択肢から選ぶ問題です。
  • 英文読解問題の出題形式は大半が適語句補充問題
    Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの英文読解問題では,20問のうち16問が「文脈に合うように適する語句や英文を選ぶ問題」でした。文の流れを理解し,空所に最もふさわしい英語表現や英単語を補う能力が試されていると言えます。
  • 語彙問題は単語の知識+活用
    Ⅴの語彙に関する問題は,1が動詞の活用,2がポスターに掲載された日本語表現をヒントに英訳するもの。昨年まで出題され続けた語句空所補充問題は姿を消し,今年度は単語1語を補うだけの問題に変わりました。昨年度も話題にしましたが,単なる単語の知識だけでは正解できな問題は,今年度更に複雑化しています。
<出題内容>
大問 出題内容 設問 配点
リスニング 形式は、昨年とほぼ同じです。1~3の3つのパートに分かれており,1は対話の応答を完成する英文を選ぶ問題で,放送が1度しか読まれないことと,選択肢が紙面に掲載されていないことが特徴です。この種の問題は対話の場面をイメージできるか否かが正答へのカギとなりますが,場面設定が紙面に書かれているためさほど難易度は高くありません。2は対話文を聞いて,3は教師から受験者へのアナウンスを聞いて,それぞれその内容に関する質問に答える問題です。2では昨年まであった「グラフや図を見て答える問題」がなくなりました。3は,スケジュール表を見ながら英文の説明を聞き取る形式での出題です。放送の中で,スケジュールの一部に変更があるという内容があったのですが,そこを聞き逃し正解できなかった受験生がかなり存在したようです。 8 24
英文読解
(情報理解と整序英作)
国際フェスティバルに向けて行われたインターネットのミーティングにおける複数の話者(4名)の発言を読み,フェスティバル会場の地図や催し物の内容を理解して答える問題でした。地図・表と照らし合わせながら英文を読み取るという,情報整理能力が求められる良問です。また,恒例の整序英作ではwill be able toとlook forward toといういずれも連語表現での出題でした。 7 16
英文読解 説明文の読解問題で,昨年同様「適語・適文補充」問題に加え,英文で述べられた順番に挿絵を並べかえる問題の2種です。設問の選択肢にやや難解な語(例:accept, respect, announcing, judge, spread など)が用いられた問題では受験生の正答率がやや低くなっています。ただ,英文自体は昨年度まで出題されてきた大問Ⅲと比較すると,難解な単語や表現が見られず読み取りやすい印象です。 6 18
対話文読解 自分の住む地域を外国人に紹介するツアーの計画について,日本人高校生が外国人留学生と話し合う対話文。文の流れに合う英文を補ったり,全体をまとめた英文の空所に本文中の単語を補ったりといった問題が主な出題でした。単語を補う問題については,動詞とのコロケーション(自然な語と語のつながり)を意識した問題で,言語感覚が試される良問だと言えるでしょう。 7 21
語彙問題 2つのパターンの出題で,1は「動詞の活用」、2は「単語の正確な使用」が問われる問題で。単語を補う問題で特長的なことは,「社会的な用語が正確に書けるか」ということと,「英文中での正しい形で答えられるか」ということの2つの観点で出題されていることです。「社会的な用語」とは,例えば『地球温暖化』『熱帯雨林』『発展途上国』などで,いずれもSDGsを意識した出題だと考えられます。また,昨年も出題されましたが,空所の前後をよく見て単語を複数形にするか否かをしっかり考えて書くということも求められています。 8 21
入試の対策入試の対策
  • ナチュラルな発音とスピードの速い音声でリスニング&スピーキング練習
    近年の入試は、スピードが速く(英検2~準2級程度),ネイティブが話すような自然な発音の音声が使用されていることがほとんどです。自然な発音とは、音の繋がり(リンキング)や脱落(リダクション)があるものです。普段からそれらを意識して聞き取り,更に発音する練習を心がけることが大切です。
  • 英文読解は速読かつ文脈理解
    近年の兵庫公立入試は,語彙数の多い英文を読破しなければならないため速読が必要です。また,要旨を押さえる問題から文の流れを理解しているかどうかを試される問題へと出題傾向がかわりましたので,「速く正確に」読み取る訓練が必要です。話し手が伝えようとしていることや,対話の流れから次にどのような表現が最適かなどを考えながら読む訓練をしましょう。
  • 語彙の増強は必須
    兵庫県教育委員会が発行している「はば単(改定版)」には,教科書に登場しない語句を含め2,500語(令和6年度入試以降,昨年より使用語数が800語増加)が掲載されています。公立入試問題はその中から出題されると明言されていることから,「はば単」を徹底的に学習することが必須です。単に単語を覚えるだけではなく,実際の活用法(変化形,意味)を例文から学ぶようにしましょう。
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