大問 | 出題内容 | 設問 | 配点 | |
---|---|---|---|---|
一 | 詩と会話文 | 今年度は提示される資料が2種類の「詩」で,詩の内容,表現の効果が問われ,文章読解の要素がより強くなった印象があります。この大問一ではどのような題材が用いられるかが予想できないため,最初の大問で時間をかけすぎてしまう傾向が否めません。 解答のヒントとなる情報を,会話文からいかに正確に早く把握できるかが試されていました。 |
6 | 20 |
二 | 漢文 韓非 『韓非子』 |
春秋戦国時代の思想の集大成と分析がなされた『韓非子』は,中国戦国時代の法家である韓非の著書です。五つの設問中に必出の返り点を打つ基本問題が一題ある構成は例年通り。 問三の主語を答える問題,問四の内容把握を問う問題は昨年の出題傾向と同じで平易であり,得点源にしておきたい大問です。 |
4 | 13 |
三 | 古文 山科道安 『槐記』 |
『槐記』は江戸時代前期から中期にかけての公家,近衛家熙(このえいえひろ)の言行を侍医であった山科道安が記した日記です。 問一は例年出題される仮名遣いの問題で,今年度は「ゐて」の変換で平易。問二は古文中の意味を文脈から意味が取れるかどうか,問三では大問二の漢文でも出題があった主語を問う問題でした。 問四では内容把握を問う問題でしたが,傍線部だけで判断はできず,文脈から正答を選ぶ力が問われており,やや難度の高い出題でした。 |
4 | 12 |
四 | 小説文 村山由佳 『星屑』 |
著者は,数々の文芸賞・文学賞の受賞歴も多く,映画化やドラマ化されている作品もあります。出題の作品は芸能界を舞台にした小説で,入試問題としては珍しい題材からの出題でした。心情把握を含む内容理解の問題を軸に,漢字の読みと本文中の語句の意味を問う出題傾向は変わりませんでしたが,今年度は文法問題として9年前にも出題された「音便」を答えさせる問題が出題されました。 学校の教科書では中学2年生で学習しているはずですが,大きな項目として扱われているわけではないため,正答率が低くなると思われます。心情把握を含む内容理解を問う問題では,紛らわしく長い選択肢が並び,文章中の表現や場面設定を丁寧に読み取らなければ正答にたどり着けず,大問全体としての難度は高くないものの,設問によっては正答率が低くなることが予想されます。 |
8 | 27 |
五 | 論説文 山口裕之 『現代メディア哲学』 |
著者は,ドイツ文学・メディア理論・表象文化論・翻訳論を専門とする東京外国語大学教授です。近年の兵庫県公立高校一般入試での現代文は比較的新しい著作物からの出題傾向にあり,今年度出典の作品も2022年に出版されたものです。技術の進化とともに変容するメディアの役割や影響力について述べられ,特に政治的な影響力について考察された文章からの出題でした。 例年に比べ,出題の文章自体に難解な語句はあまり見当たらず,読み進めやすい文章であったものの,著者の論理に沿って読解するのは難しかったかもしれません。 漢字の選択問題においては、今年度は3問中1問が中学生配当漢字からの出題でした。 いずれも語句の意味を理解していなければ答えられず,正答率はあまり高くないであろうと予想されます。 文法問題では,3年連続係り受けの問題が出題されました。その他,問六の書き抜きで解答する問題以外はすべて符号選択で,例年通り長めの紛らわしい選択肢が並びました。 選択肢については,「誤りの選択肢の根拠を確実に本文中から指摘しなければ正答の選択肢が選べない=正答の選択肢の表現と同じ,もしくは似た表現が本文から見つけにくい」ことが特徴的です。 また,大問五の正答率が上がらない要因としては,大問一に時間をかけすぎたため,最後の大問五に時間をかけられなかったことが考えられます。 今年度の入試においても、引き続き「正確」に「速く」読み解く力が問われています。 |
8 | 28 |
大問 | 出題内容 | 設問 | 配点 | |
---|---|---|---|---|
1 | 計算,基本的な図形問題を中心とした独立小問 | (1)正負の数の加減,(2)多項式の乗除,(3)平方根の加減,(4)因数分解,(5)比例と反比例,(6)円錐の側面積,(7)平行線と角,(8)標本調査で,昨年度と同様全8問構成でした。また,今年度も中1から中3の全学年の学習内容から出題されていました。いずれの問題も平易でしたが,(6)の円錐の側面積を求めればよいのに,誤って円錐の表面積を求めるといったミスには要注意です。 | 8 | 24 |
2 | 1次関数の利用,関数y=ax2の利用(動点) | 動点の問題で,関数y=ax²と1次関数を合わせたグラフになる定番の問題でした。難易度としては標準的です。点Pが途中で速さを変えて動くので,その部分を読み落とすと混乱を招くことになります。(3)③は,二次方程式を立てた際に,因数分解を利用して整数解が導き出される問題が多い中,解の公式を使って解を求める必要がありました。このことより,計算途中で戸惑った受験者もいたことでしょう。 | 3 | 15 |
3 | 平面図形 | (1)の証明問題はここ数年定番化している語群から正しいものを選択する証明問題,(2)~(4)は四角形の性質,三角形の底辺比と面積比,相似等様々な知識を駆使し,線分の長さや面積比を求める問題でした。この大問では(1)~(3)でわかったことを(4)に活かすことができます。このように前の問題でわかった事柄を次の問題に活用するという流れは,他の多くの問題にあてはまります。(1)~(3)は比較的平易でしたが,(4)の正答率は2023年度の中では最も低くなると予想されます。解法はいくつかありますが,いずれの解法も補助線を引く必要があり,時間が限られる中でそれに気付くことは難しいでしょう。 | 4 | 15 |
4 | 関数y=ax2と図形 | (1)~(3)は定番の問題であり難易度は平易でした。(4)は放物線と円を組み合わせた問題で,難易度は標準的でした。また,(4)は円に内接する直角三角形を利用する問題で,円周角や三平方の定理の知識を利用して解きます。この円に内接する直角三角形は,今年度は関数と図形で出題されましたが,平面図形でも頻出です。円は図にえがかれていないので,題意に従い自分で円をえがくことで解法が思い浮かびやすくなります。図形が関係する問題は,例え解につながる確信がなかったとしても,まずはかいてみることが重要です。 | 4 | 15 |
5 | 確率(連立方程式) | さいころを投げて,その目の数によって箱の中に玉を入れていく定番の問題で,操作も2つしかないので一見平易に見えますが,難易度としては標準~難の問題でした。操作を繰り返し行うことと,繰り返し行った操作の結果の情報が多く,整数の知識も利用しながら,一つ一つ情報を整理し理解しなければならないことに難しさがあります。また,確率の問題と思って解き進めていたのに,(4)②は連立方程式を使う必要がある珍しい問題であり,戸惑った受験生もいたことでしょう。(4)②が解けなければ,(4)③が解けないこともあり,(4)③は正答率が低くなることが予想されます。 | 3 | 15 |
6 | 数学的な考え方 | 2ページにわたって問題文がかかれており,必要な情報をすばやく正確に読み取ることが重要です。問題そのものの難易度としては平易ですが,最後の大問で時間がないことが予想される中,文章量の多さにより難易度が上昇しています。操作の複雑さはあるものの,数学的な知識としては中学1年生の内容だけで解くことができます。 | 3 | 16 |
大問 | 出題内容 | 設問 | 配点 | |
---|---|---|---|---|
Ⅰ | 地理総合 1:世界地理 |
ヨーロッパ、アフリカ、中・南アメリカから出題。地図が分断されていて位置関係をつかむのに苦労させられました。経緯線や気候,各国の貿易などの特徴について出題されました。在留邦人数や海外進出日系企業拠点数の表から日本とのつながりでブラジルを選択する問題がありました。歴史的背景など総合的にからめた問題で、知識とその活用が要求されました。 | 11 | 35 |
地理総合
2:日本地理 |
中国・四国地方についての自然や産業、人口などに関する問題。気候の特色、地形の断面図、化学工業と繊維工業の出荷額表と文章を絡めた正誤判定問題、広島県の3つの市町(広島市、呉市、大崎上島町)の位置と人口等に関する表から老齢化が進んでいる大崎上島町を選択するなど、非常に深い知識と判断力が要求されました。地形図問題では、2枚の写真を見てその撮影位置を判断し、「地震・津波避難支援マップ」の読み取り問題もあり、難度が高い問題の出題が目立ちました。 | |||
Ⅱ | 歴史総合 1:江戸時代までの歴史 |
法令の一部に関する4つの資料をもとに政治、社会の様子について出題。資料は飛鳥時代の十七条憲法、鎌倉時代の御成敗式目、戦国時代の分国法、江戸時代の公事方御定書。年代順に並べる問題が2題で、いずれも3つの事柄について出題されました。 | 10 | 35 |
歴史総合 2:近代以降の日本・アメリカの政治家や世界の様子 |
近代以降の日本とアメリカの政治家の年表をもとに、政治や社会の動き、海外とのつながりや当時の世界情勢について出題されました。アメリカの南北戦争、近代日本の海外とのつながり、第一次世界大戦参戦理由とその後の対応について。さらに,2人の政治家の人物名も問われました。日本の政治家、原敬を解答するのに戸惑ったかもしれません。アメリカの政治家はウィルソン大統領。多岐にわたっての知識と内容を読み取る力が問われました。 | |||
Ⅲ | 公民総合 1:日本の経済-貨幣経済と金融政策 |
貨幣経済と金融政策 貨幣導入の理由と現在の多様化、日本と欧米5か国の追加的財政支援の割合の表と文章から語句(ユーロ,イタリア)を解答する問題。「イタリア」に関しては、ユーロ導入国という文言を見落としがちになります。株式購入の2年間(2016年と2020年)の比較表の読み取り,不況時の日本銀行の金融政策や円高時の日本企業の様子など、知識だけでなく、読解力、判断力が問われました。 | 8 | 30 |
公民総合 2:地方政治(地方自治)-被選挙権や町村議会議員 |
地方政治の変遷、被選挙権、首長と地方議会の関係について。町村議会議員や無投票団体に関する3つの資料の読み取り、正誤問題は3つの文の判定で、選択肢も4つから6つに増えました。知識もさることながら読解力をはじめ総合力が問われました。 |
大問 | 出題内容 | 設問 | 配点 | |
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Ⅰ | 生物 植物の特徴と分類,自然界のつり合い |
中問1は,植物からの出題。基本的な植物の名前や特徴を問う問題となっており,比較的平易な問題でした。ただ,胞子がつくられる部分の図を選ぶ問題では,イヌワラビを選ばないといけませんでしたが,掲載されているゼニゴケが雄株とは知らずに,そちらを選んでしまった受験生もいたのではないかと思われます。 中問2は,自然界からの出題。土の中の小動物や微生物が,落ち葉や有機物を変化させるかどうかを確かめる実験の問題。教科書に掲載されている実験と非常によく似たものでした。 問題文が非常に長く,図も多数あったため,複数の情報を素早く整理する必要がありました。 教科書には掲載されている実験ではありましたが,寒天培地の色の変化や,土の中の微生物の数量に関する問題が出題されており,普段から解いて慣れていないと難しく感じたかもしれません。 |
6 | 25 |
Ⅱ | 地学 地球の大気と天気の変化 |
中問1は,天気図や気団など関する問題。天気図記号の問題や,高気圧・低気圧周りの風の吹き方など,基本的な問題が多く比較的平易な問題でした。 ただ,天気図の並べ替え問題については,7月と12月の天気図は比較的判断しやすかったのですが,6月と10月の天気図はどちらにも停滞前線があったため,きっちり問題文を読んで,図を選択する必要がありました。 中問2は,水蒸気に関する問題。湿度や飽和水蒸気量から水蒸気量を求める計算問題が出題されましたが,表から数値を正しく読み取って計算すれば正解できたため,そこまで難しくはありませんでした。 しかし,白く見えた湯気は水蒸気ではなく水滴である,ということを知っていないと解けない問題があり,その問題については正答率が低くなることが予想されます。計算力は必要でしたが,物質の三態など本質的な内容を理解できていたかどうかも大切でした。 |
8 | 25 |
Ⅲ | 化学 水溶液の性質,物質のすがたとその変化 |
中問1は,蒸留に関する問題。比較的平易に見える問題でしたが,枝つきフラスコ内の温度計のとりつけ方や,混合物の水温変化のグラフに関する知識がないと間違えてしまう問題であったため,正答率は低くなると予想されます。 また,蒸留で赤ワインの気体を集めるとその気体は赤色ではなく無色になる,といった本質的な理解も必要でした。 中問2は,再結晶に関する問題(電離式も1題出題)。電離式の問題や,ろ紙の穴・粒子の結晶の大小関係を表した図の問題は比較的平易な問題でした。 ただ,最後の質量パーセント濃度を求める問題では,どの水溶液の濃度が最も小さいかを判断し,さらにその上で質量パーセント濃度を導き出さなければならなかったため,正答率は低くなると予想されます。 |
8 | 25 |
Ⅳ | 物理 電流の性質,電流と磁界 |
中問1は,オームの法則に関する問題。電圧計のつなぎ方や,抵抗器のグラフに関する選択問題は比較的平易な問題でした。 しかし,その後の問題では,実験の長い問題文を読んだ上で複数の実験の回路図を自分でかく必要があり,限られた時間の中でそれらの情報を素早く整理する必要がありました。 また,1つの問題で3種類の計算をして,さらにその上でグラフを選ぶといった問題が出題されたため,正答率は低くなると予想されます。 中問2は,エネルギーの変換,電力,磁界に関する問題。豆電球やLED豆電球のエネルギー変換に関する問題は平易でしたが,モーターが回転するしくみに関する問題は,コイルにはたらく力関係をきちんと理解していないと解けない問題だったため,どの選択肢にすべきか迷った受験生がいたと思われます。また,モーターの変換効率を求める問題は非常に難解でした。 まず,中3で学習した仕事量を求め,次に中2で学習した発熱量を求め,さらに中3で学習した変換効率を求め,最後に四捨五入をして答えを出すという問題でした。 複数の立式をするだけでなく,複雑な計算もしなければならないという難解な問題であったと言えます。 |
8 | 25 |
大問 | 出題内容 | 設問 | 配点 | |
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Ⅰ | リスニング | 形式は、昨年とほぼ同じです。1~3の3つのパートに分かれており,1は対話の応答を完成する英文を選ぶ問題で,放送が1度しか読まれないことと,選択肢が紙面に掲載されていないことが特徴です。この種の問題は対話の場面をイメージできるか否かが正答へのカギとなりますが,場面設定が紙面に書かれているためさほど難易度は高くありません。2は対話文を聞いて,3は教師から受験者へのアナウンスを聞いて,それぞれその内容に関する質問に答える問題です。2では昨年まであった「グラフや図を見て答える問題」がなくなりました。3は,スケジュール表を見ながら英文の説明を聞き取る形式での出題です。放送の中で,スケジュールの一部に変更があるという内容があったのですが,そこを聞き逃し正解できなかった受験生がかなり存在したようです。 | 8 | 24 |
Ⅱ | 英文読解 (情報理解と整序英作) |
国際フェスティバルに向けて行われたインターネットのミーティングにおける複数の話者(4名)の発言を読み,フェスティバル会場の地図や催し物の内容を理解して答える問題でした。地図・表と照らし合わせながら英文を読み取るという,情報整理能力が求められる良問です。また,恒例の整序英作ではwill be able toとlook forward toといういずれも連語表現での出題でした。 | 7 | 16 |
Ⅲ | 英文読解 | 説明文の読解問題で,昨年同様「適語・適文補充」問題に加え,英文で述べられた順番に挿絵を並べかえる問題の2種です。設問の選択肢にやや難解な語(例:accept, respect, announcing, judge, spread など)が用いられた問題では受験生の正答率がやや低くなっています。ただ,英文自体は昨年度まで出題されてきた大問Ⅲと比較すると,難解な単語や表現が見られず読み取りやすい印象です。 | 6 | 18 |
Ⅳ | 対話文読解 | 自分の住む地域を外国人に紹介するツアーの計画について,日本人高校生が外国人留学生と話し合う対話文。文の流れに合う英文を補ったり,全体をまとめた英文の空所に本文中の単語を補ったりといった問題が主な出題でした。単語を補う問題については,動詞とのコロケーション(自然な語と語のつながり)を意識した問題で,言語感覚が試される良問だと言えるでしょう。 | 7 | 21 |
Ⅴ | 語彙問題 | 2つのパターンの出題で,1は「動詞の活用」、2は「単語の正確な使用」が問われる問題で。単語を補う問題で特長的なことは,「社会的な用語が正確に書けるか」ということと,「英文中での正しい形で答えられるか」ということの2つの観点で出題されていることです。「社会的な用語」とは,例えば『地球温暖化』『熱帯雨林』『発展途上国』などで,いずれもSDGsを意識した出題だと考えられます。また,昨年も出題されましたが,空所の前後をよく見て単語を複数形にするか否かをしっかり考えて書くということも求められています。 | 8 | 21 |